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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens

Aozora Bunko

「いいえ、あの、お役人さまのおさしずにさからったのではござりませぬ。あの、あの――」

珍念、何を答えるかと思われたのに、きくも天真爛漫、こともなげにいってのけました。

「わたくしは、このお地蔵さまと大の仲よしだからでござります」

「なに! 仲よしでありますとのう。どんなふうに仲がよいのでござります?」

「毎朝毎晩、お水をあげるのもわたくし、お花を進ぜますのもわたくし。このお地蔵さまのお世話は、何から何までみんなこの珍念がしてあげたのでござります。それゆえ、ひと朝なりともお世話欠かしましては、お地蔵さまもさぞかしお寂しかろうと存じまして、けさもこのとおり急いでやって参りました。そこをようごろうじませ。お花もござります。お水もござります。みんなそれは仲よしのこの珍念がお上げ申したのでござります」

いかさま、よくよく見ると、小坊主珍念さながらのような、いかにもかわいらしく小さい竹筒に、ちんまりといじらしくも小さい花をたむけて、水もまたちゃんと供えてあるのです。

「なるほどのう。では、そなたこの地蔵さまがどうしてこんなところへ、このようなお姿にされて捨てられたか、それもこれもみんなご存じでござりまするな」