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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens
じきにもうだんなさまがかわいくなりましてね。ええ、ええ、そうですとも! そうですとも!」
「もういいよ! ばあや! そんなにつべこべといろいろなことをいえば、よけい恥ずかしくなるじゃないか。早くしたくをおやり」
「はいはい。では、まずお湯のかげんでも見てまいりましょうよ、あちらでごゆっくり――」
変わった趣向といえば変わった趣向でした。
男は名を幸吉、もちろん林幸の店の若だんなでした。
新嫁もまた同じ町内の同じ薬種問屋の妹娘で名はお冬。
秋にしたらいいだろうというのを幸吉がせきたてて、この夏のさなかに式を早め、それがちょうどゆうべのことなのです。早めて式をあげたはいいが、話のとおり日本橋のほうでは人目もうるさいし、何やかやとまだごたついて、ゆっくり語らうこともできないところからして、こうして人世離れたこの寮へのがれて、しみじみと新婚の夢を結ぼうというのでした。
ザアッ、ザアッと、また通り雨……。
ふたりきりになってしまうと、この雨までがなかなかふぜいがあるのです。
「おまえ、胸がどきどきしているんじゃないかえ」
「あんなことを……」
「なんだかこうそわそわとして、へんにうれしいね」