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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens
「そうですとも! ええ、ええ、だれだってうれしいもんですよ」
そこへばあやが無遠慮に顔を出すと、無遠慮に促しました。
「ちょうど上かげんでございます。情が移ってようござんすからね。仲よくごいっしょにおはいりなさいまし」
「よかろう! どうだい! おまえはいるかい」
「でも……」
「だいじょうぶ。だれも見ちゃおらんからはいろうよ」
「…………」
「恥ずかしいことなんかありゃしないよ。ね、ばあや。それが夫婦じゃないか。いっしょにはいったって、おかしくないやね」
「ええ、ええ、そうですとも! これがおかしかったら、おかしいというほうがおかしいですよ。ここの寮のお湯殿は、とても広くてせいせいしておりますからね、仲よくふたりで水鉄砲でもして遊ぶとようござんすよ」
もじもじしていたが、人目のない寮の湯殿ということが、新嫁の心をそそのかしたとみえるのです。うっすらと顔を赤らめながら、やがてお冬も立ち上がると、新婿のあとから湯殿の中へ姿を消しました。
しかし、ほとんどそれと同時でした。
「ばあや! ばあや! たいへんなことになったよ! ばあやはどこだ!」
幸吉がまっさおになって湯殿から飛び出してくると、なにごとが起きたか、うろたえながら叫びました。