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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens
そのときの用心にと思って、ちょっとおつきあいに泣いたんです。あれをご覧なさい、あれを――」
「…………?」
いぶかしいことばに、起きあがって、指さした庭先を見ながめると、しょんぼりとたたずんでいる人影が見えました。
はかま、大小、素はだしに髪は乱れて、そのはかまも横にゆがみながら、なにかあわてふためいて必死とここへ駆けつけてきたらしい様子が見えるのです。
「お牢屋同心だな!」
「そ、そ、そうなんですよ。ちらりと見たばかりでホシをさすたアえれえもんだね。あの、だんな、ご親類ですかい」
「腰にお牢屋のかぎ束をぶらさげていらっしゃるじゃねえか。いちいちとうるせえやつだ。ご心配そうにしていらっしゃるが、何か起きたのかよ」
「起きた段じゃねえんだ。しかじかかくかく、こいつとてもひとりの力じゃ手に負えねえとお思いなすったとみえてね、まずなにはともかくと、あっしのところへ飛んでおいでなすったんですよ。うれしいじゃござんせんか、そのご気性がね。伝六はむっつり稲荷の門番なんだ、奥の院を拝むにはまずあっしに渡りをつけなきゃというわけでね。来られてみりゃ、あっしもこういう気性なんです。