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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Read 地獄風景 (じごくふうけい) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 53,774 characters · 108 screens
大迷路
うねり曲ったレールの上を、箱の様な乗物が横転、逆転、宙返りだ。
イヤ、こんな風に順を追って書いていては際限がない。一つ一つの風景については、物語が進むに従って、詳しく描き出す折が度々あるのだから、凡て説明を略して、場内の主なる建造物を列挙すれば、
空中を廻る大車輪の様な観覧車
繩梯子でいつでも昇れる大軽気球
なき浅草の十二階を、ここに移した摩天閣
明治時代懐しきパノラマ館
大鯨の胎内巡り
からくり人形の地獄極楽、地底の水族館
ジンタジンタの楽の音に、楽しく廻るメリー・ゴー・ラウンド、など、など、など
と数え上げる丈けでも大抵ではないが、手っ取り早く云えば、大博覧会の余興場をもっと大掛りにして、それを天然の山や谷や森の中へ、いとも奇怪に積み上げたものである。そして、その一つ一つの構造も決してあり来たりのものではなく、園主治良右衛門の不思議な天才で、悪夢の中の風景の様に、或は西洋お伽噺の奇怪な挿絵の様に、或はクリスマスのお菓子製の宮殿の様に、奇しくも作り上げたものなのだ。
大迷路
それらの建造物の中で、ジロ氏が最も力をこめ、又園内第一の怪奇物に相違ないものは、樹木をビッシリ植え並べ、一度這入ったら、迷い迷って、一時間や二時間では到底出口の見つからぬ、迷路の作り物であった。