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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
と云われて多助は恟り致し、ハアと云いながら思わず知らず此処へ泣き倒れました。
役「これ/\彼方へ参れ、彼方へ参れ」
多「はい/\、腹ア減らして遣い残しが二十八文、宇都宮なら食わずにでも往くが、三百里あっちゃア仕様がねえ」
役「ぐず/\云うな、彼方へ行け」
多「はい、参りやす」
と言いながら出掛けましたが、頼みの綱も切れ果てゝ、これから先きは飢えて死ぬより外に仕様がないと覚悟を極め、何うか知れないように淵川へでも身を投げて死のうと思って、日の暮れるまで彼方此方とうろ/\歩いて、駿河台の織田姫稲荷の所へ参りますと、最う腹が減って歩けません、其の内に雨がポツリ/\と降ってまいりますから、駿河台を下りて昌平橋へ掛りました。此の昌平橋は只今は御成道の通りに架って居りますが、其の頃は万世橋の西に在りましたので、多助は山出しでございますから、頓と勝手が知れません。
多「死ぬべえが此の川は国の川と違って底が見えねえから深いと見える、此処から飛込むべえか、彼処から飛込むべえか、何処から飛込んだらつん流されべえ、死ぬには入らねえ廿八文、此処え上せて置けば乞食か何か拾って往くべえから、此処へ上せて置くべえ」