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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
丹「兎も角も早く逃げる支度をしろ」
と云いましたが、差当り二人の死骸の遣り場がありません所から、右の死骸を藁小屋へ突込みまして、それから有合した着替の衣類に百五六十両の金を引出して、逃げる支度をしている中に、門前には百姓が一杯黒山のように群り寄り、大声を揚げて口々に名主も原父子も此処え出ろ、打殺してしまえ、打殺してしまえ。と罵り立てられ、丹治おかめは表へ出る訳にいかない処から、一計を案じ、彼の藁小屋へ火をかけましたが、藁の事ゆえ忽ち燃え移り、屋根裏へ抜けて母屋へ移り、焔々とばかりに燃出した時には、火事馴れぬお百姓衆の事ゆえ、大きに驚きまして、丹治の逃げるを追いかける了簡もなく、火を消す方へのみかゝり、ワイ/\騒いでいる中に、丹治おかめの両人は生垣を破り逃げ出しました。名主も逃げ場を失い、漸くの事で生垣を破って逃出そうとすると、平常小前の者に憎まれて居りますから、百姓衆は手に/\鋤鍬を執り、名主を殺せ、名主を殺せ。と云うので、到頭無茶苦茶に殺してしまいました。此の事早くも御領主様へ聞えましたから太左衞門罷出でて、立派な申開きが相立ち、原丹治父子の悪事、おかめの不届の次第が分りましたが、鹽原の家は焼失致し、それなりに済みまして、太左衞門は鹽原角右衞門の位牌を引取り、線香の煙の絶えんよう