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しおばらたすけいちだいき

塩原多助一代記

三遊亭 円朝

Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens

Aozora Bunko

仁「何だ何うしたんだ」

かく「何だじゃアねえよ、無闇に這入って来てさ、己が比丘尼に成っている身の上じゃアないか、殊にお客の居るのを知らねえかえ」

仁「何だか突然にポカ/\打つから分らねえ、それに兄いが牢死したと云うのは何だ」

かく「それは出たらめだ、己の云う事を本当にする奴があるものか、お前を打ったのは泊ってる奴が二人居るから、いやと云う程苛く打たなくっちゃ本当にしないからだ、其の客人は原丹治とおかめという奴で、お前も知っている下新田の後家で、お梅の実の親のおかめが泊って居るのさ、沢山金を持ってる様子だが、丹治が己を切ってしまいそうな権幕だったから、改心して尼に成ったと云い、兄いはお縄を受けて牢死したと云って置いたのに、兄いの事を云っちゃア化の皮が現われるじゃアねえか、お前も気がきかないのう」

仁「だって何だか知らねえからだアな、突然に駆出して来て擲り附けた時は、己ア何だと思った」

かく「お前そうして兄いは何うした」

仁「兄いは北牧まで来ているよ」

かく「まア耳を貸しねえよ」

仁「貸して居らアな」

かく「暗くって分らねえ」

と云いながら耳の傍へ口を寄せ、何やら暫くこそ/\私語き、