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しおばらたすけいちだいき

塩原多助一代記

三遊亭 円朝

Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens

Aozora Bunko

御家来を見返って、

侍「これ吉次、少々明神下に買物があるから、遅くなるかも知れんから先へ帰って、旦那様は後から直ぐに帰ると御新造にそう云え」

吉「へい、それではお提灯を置いてまいりましょうか」

侍「まア却って燈のない方が宜しいから持って往け」

吉「へい、左様ならお先へ参ります」

多「おいお供さん、大きに有難うがんした」

と云う間に早や家来は急ぎ駈下ります。跡を見送ってお侍が宗十郎頭巾を取って首へ巻き、

侍「これ多助、誠に懐かしかったなア」

多「へい貴方は何方でがんす」

侍「三ヶ年前其方が屋敷へ参った時は、義理あればこそ親子と名告らず、つれなく其方を帰した後で、母が愚痴ばかり申して泣いてばかり居ったが、皆手前の為めを思い、態と厳しく云って帰したが、八歳の時に別れたゆえ碌々顔形も分らないがな、其方の実の親の鹽原角右衞門であるぞ」

多「えゝお父様か、あゝ逢いとうござりやした」

と云いながら泣出し、袴に取付き、

多「もし、三年あと、お邸にまいった時に、貴方が己ア実の子じゃアない、全く百姓角右衞門の子だが、同じ名前の義理で汝を育てたのだ、自分の子ではねえと縁切って向へ遣った