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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
すが、こんなに大けえ火事がこう続いてあるとは魂消やした、火には追掛けられるようだよ、危えとも危えとも、あんな何うも先の尖った鳶口を担いで駆けていやすから、頭へでも打つけられて怪我でもしては大変でがんす、旦那さん何処へ逃げやすか」
角「己も始めて江戸へ出たのだから困った、仕様がねえが此の間一度尋ねた小網町の積荷問屋な、彼処へ行くべい」
とこれから小網町へ参りますと、此の火事が日本橋から江戸橋、四日市、小網町へ焼け込んで参りましたゆえ、角右衞門は又此処を焼け出されました。
五「怖かねえ処だ、江戸てえ所にゃア二度と再び来る所じゃねえ、火に追かけられて居るんだねえ、旦那さん何処へ逃げべえか」
角「仕方がねえ、外に往き所もねえから深川の出船宿へでも行くべい」
と深川高橋までまいり、ホッと一息吐く間もなく、又此の火事の飛火がしまして、深川一面の火となり、火の粉がばら/\落ちかゝりますから、
五「旦那さん、又何処へ逃げべえねえ」
角「何処へも行きようがねえ」
五「あゝ二度と再び来る所じゃありやしねえ」
角「仕様がねえ、馬喰町は焼けてしまったから、板橋へでも往って泊るべえ」