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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
が見えまする。
傳「どうだい、ひどい所だねえ、どうだえ、何んとか云ったッけ、磯之丞さん、ひどい所だねえ、此様な所じゃアないと思ったが、これじゃア蟒も出ましょう、どうだい宇之さん」
宇「ひどい所でございます、私も是程とは思いません、是れから又登るのかえ」
案「これからアはア下ります」
と云いながら、これより一里ばかり下りますと、渓の流で、どう/\ッと流れる。山には草に花が咲いて居りますが、見馴れぬ草で、名も知れない草の花が咲いております。渓の水で咽喉を湿おして、それから一里半ばかりも登りますと、見上げる程の大樹ばかりで、両人は草臥れたから大樹の根にどっかり腰を掛けて、
傳「宇之さん弁当を遣おうじゃないか、案内さん弁当を出して下さい」
案「ハア随分草臥れやす」
傳「お前はよく馴れてるから草臥れないようだねえ」
案「私なんざア年中斯ういう所を歩いてるから、平地は却って歩きにくい」
といいながら両人が弁当を開けると、大きな握飯が二つと、梅干の堅いのが入れてある。
傳「何うだい、大変大きな握飯じゃないか、もっと幾つにもしてくれゝばいゝに、梅干は真赤で堅いねえ、あゝ酢ぱい、案内者さんの握飯は大きいねえ」