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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
一日角右衞門が多助に云うのに、おえいがまだ御城下を見たことはあんめえから、一緒に連れていって見せて来う。沼田は土岐様の御領地でございます。多助はおえいをつれて参り、見物させて帰ってくると、其の跡から続いて内へ入って来た男は、胴金造りの長物をさし、菅の三度笠を手に下げ、月代を生し、刷毛先を散ばし、素足に草鞋を穿いて、
男「はい、御免ねえ」
五八「ヒエー何所から来た」
男「鹽原角右衞門さんと云うのは此方でごぜえやすか」
五八「へい、此処でごぜえやす」
男「今こゝの家へ二人連れで這入った若いお方は此方の若旦那でございますか」
五八「へい、今こけえ這入ったのは己ア家の息子どんの多助さんだが、なんだえ」
男「その若旦那と一緒に附いて這入った美くしい姉さんは此の家の娘でございやすか」
五八「己ア家のおえいさんと云う娘さんだが、なんだえ」
男「へい、そうですか、そんならお前さんのところの娘に違えねえのだね、おいお母ア、こっちへ入んねえな」
婆「はい御免なさい」
と云いながら這入って来た婆アは、年頃は五十五六で、でっぷり肥り、頭を結髪にして、細かい飛白の単衣に、黒鵞絨の帯を前にしめ、白縮緬のふんどしを長くしめ、鼠甲斐絹の脚絆に、白足袋麻裏草履という姿ですから、五八はいろんな人が来るなアと呟やいて居ますと、