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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Read 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) by 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 108,647 characters · 215 screens
書簡
反歌
秋ふかみ みやの玉がき よりそへて 飛鳥の子らの 徘徊るらし
皇極天皇弐年の秋、入鹿斑鳩の宮を焼く。
太子の御遺族悉く難に殉じたるを悼みて。
いや果の ひたふる念ひ 父王の 垂訓たがはじと 賜ひし身はや
玉きはる いのちのうめき 炎して 彩なす雲と 群立ちにけむ
しぬび哭く 采女が髪の みだれより 飛鳥の月の 冴えわたるかも
歳月は かなしきかなや 麗しの み子らほろびて 蜻蛉ながるる
――昭和十七年秋――
書簡
――古都の友へ――
君とともに斑鳩の里を巡ってからもう三年の月日が流れた。その後も春と秋には大和を訪れ、夢殿に詣でたいと願っていたが、空襲は激しくなり、やがて終戦したものの旅は一層窮屈となって、昨年と今年はとうとう古寺巡礼を中止せざるを得なかった。この間、僕は東京郊外の茅屋に蟄居して、息づまる思いで世の激しい転変を眺めていた。東京はおおかた廃墟と化した。昨日までは栄華を極めていたものが、劫火に家を失って忽ち路頭に迷い、権勢を誇った武将達は、今日は捕われの身となって都大路を引かれて行く有様をみると、さながら平家物語の世界に在るような気がする。終戦後の僕の感想は、「夢かと思ひなさんとすれば現也、現かと思へば又夢の如し」