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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Read 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 195,601 characters · 387 screens

Aozora Bunko

「心得ました」

「わたしが音頭を取りますから、人家へ出るまで皆さん、歌をうたって下さいまし」

「よろしゅうございます」

「それで、人家へ着いたなら、お役人の方へ御沙汰をしなくてはならぬから、一通り、あの人の殺されているところを調べて参りましょう。さあ一緒になって」

一団になった山の娘は粛々として道標の傍へやって来る。

「長い刀……」

頭のお徳は竜之助が捨てた刀を落葉の中から拾い取る。

「この片腕……」

血が雨で洗われている片腕――さすがに気味を悪がって面を反ける。

「この人は、こりゃお武家じゃわいな」

恐る恐る竜之助の傍へ寄る。

「水、水が飲みたい」

「え、えッ!」

山の娘たちは一足立ち退く。

「生きていますぞいな、このお人は」

「なんぞ物を言いましたぞいな」

年嵩のお徳とお浪とは、竜之助の傍へ再び寄って来て、

「もし」

「うーむ」

「もし」

背を叩いて呼んでみて、

「このお人は生きてござんす、その片腕を切られたのは、このお人ではござんせぬ、薬を飲まして呼び生けて上げましょう」

薬はお手の物。

「水があるとな」

「どこぞ捜して来ましょうか」

若いのが一人出ようとするから、

「いいえ、離れてはなりませぬ、一足なりと一人でここを出てはいけませぬ。