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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Read 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 264,133 characters · 524 screens

Aozora Bunko

「それからこの一品、どうやら、わっしどもには不似合いな品でございますが、せっかく殿様から抵当に下すった品でございますから、持って帰って大切にお預かり申して置きます……」

「がんりき、ちょっと待ってくれ」

神尾主膳が言葉をかけました。

「何か御用でございますか」

「その刀は置いて行ってもらいたい」

「よろしうございますとも、抵当にお預かり致したものでございますから……」

「知っての通り、今、その方に支払うべき持合せがない、明日までには都合致すが、その一振は家の宝じゃ、そちに抵当に遣わすと言ったのも一時の座興、手放せぬ品じゃ、置いて行ってもらいたい」

「これは恐れ入りました、その手で、いままで殿様にはずいぶん御奉公を致しておりまする、今晩もまた一時の座興なんぞとおっしゃられてしまっては、友達の野郎に対しても、がんりきの面が立ちません、殿様の御都合のよろしい時まで、この刀は確かにお預かり申し上げました」

片手で青地錦に入れた一振を取っておしいただき、

「皆様、御免下さりませ」

お辞儀をして、さっさと立ってしまいました。

神尾主膳はじめ一座の者は、険しい眼をしてその後ろ影を見送るばかりで、さすがに身分柄、手荒いことも出来ません。