Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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ようかいはかせ

妖怪博士/青銅の魔人

江戸川 乱歩

Read 妖怪博士/青銅の魔人 (ようかいはかせ) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 212,920 characters · 421 screens

Aozora Bunko

青銅の魔人

歯車の音

歯車の音

冬の夜、月のさえた晩、銀座通りに近い橋のたもとの交番に、ひとりの警官が夜の見はりについていました。一時をとっくにすぎた真夜中です。

ひるまは電車やバスや自動車が、縦横にはせちがう大通りも、まるでいなかの原っぱのようにさびしいのです。月の光に、四本の電車のレールがキラキラ光っているばかり、動くものは、何もありません。東京中の人が死にたえてしまったようなさびしさです。

警官は、交番の赤い電灯の下に、じっと立って、注意ぶかくあたりを見まわしていました。濃い口ひげの下から、息をするたびに、白い煙のようなものが立ちのぼっています。寒さに息がこおるのです。

「オヤ、へんなやつだなあ。よっぱらいかな。」

警官が思わずひとりごとをつぶやきました。

キラキラ光った電車のレールのまんまん中を、ひとりの男が歩いてくるのです。青い色の背広に、青い色のソフトをかぶった大男です。この寒いのに外套も着ていません。

その男の歩きかたが、じつにへんなのです。お巡りさんが、よっぱらいかと思ったのも、むりはありません。しかし、よく見ると、よっぱらいともちがいます。右ひだりにヨロヨロするのではなくて、なんだか両足とも義足でもはめているような歩きかたなのです。