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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
Read 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) by 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,279 characters · 67 screens
宿屋の番頭 スキーに乗り提灯をもちてくる
せんべいを出し 何枚入れましょうといえば
四つんばいのまま 二枚々々と呼ぶ
二枚いれますといえば 口をアンとあく
宿のあかり見ゆるに ここより何町と問う
二間ばかりはいずりまた ここより何町と問う
玄関はどこだいという 番頭驚き逃げれば
他の番頭きたる 一の番頭二の番頭
ことごとく へいこうし
スキーを置けといえば 金ものがさびるよという
あつかましき怪物 後の驢馬 げらげらと笑う
うすきみ悪き怪物 百鬼夜行雪の上をはいずる
五色温泉より高湯へ
十二月三十日
高倉山へ行くつもりで仕度をしていると、ウインクレル氏から高湯へ行こうといってきた。天気さえ好くば二泊して、吾妻登山をやるかも分らないとのこと、坊城、松方、僕の三人はむやみとはりきってしまった。リュックサックに一ぱい用意の品物をつめて、十時半にウ氏の先頭、ヴンテン、孝ちゃん、坊城、松方、僕の五人が出発した。天気は非常にいい。賽の河原にくると周囲の山々が、はっきりと見えた。この上もなく美わしく輝くさまざまな朝の蜂々は、プロシァンブルーの空に、浮き上っている。冬の柔かな太陽の光線の下に眠れる谷々は、一方に濃い陰影を見せて、白く輝く面とその陰影とは、柔かい曲線と、男性的な線とを画いていた。