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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
Read 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) by 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,279 characters · 67 screens
いよいよ赤沢も近い。川の両岸には雪の大だんご、小だんごが一面に並んでいる。ちょっとスキーは困難を感じた。やがて、赤沢の岩小屋が右手に見えた。もちろんスキーは谷の上を歩いている。夏きてはこれが雪で埋まろうとは想像もつかない。驚くほど平坦な坂である。谷の両側はだんだん高くなって、ボーゲンを画いたらさぞいいだろうと思うスロープが谷を埋めている。しかしいまの雪では固すぎる。日はようやく暮れて、たちまち雪は氷のようにかたくなった。六時に全く雪に埋ったアルプス旅館を掘ってはい込んだ。幸いに雪は入っていない。蝋燭をともして焚火をした。これだけ雪に埋っていれば、中で焚火をしても、大丈夫だと安心した。煙の出口がないのでボロボロ涙をながしながら、雪をとかして湯をつくった。米もあった。ふとんもあった。今晩は天国へ行ったようだと、思いきり足をのばして寝た。
三月二十四日。目を覚すと曇っているという声がする。小十が天候を見に出たが、危いという。がっかりしながら雪の上にはいだした。槍沢は曇った空の下に静まりかえっている。早い雲の往来を見でこれは駄目だと思った。無理をしてはいけないと第一に考えた。