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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
Read 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) by 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,279 characters · 67 screens
十時頃から焼岳へ散歩に行った。焼の方から見た霞沢や六百山はなかなか綺麗だ。殊に木の間から見た大正池と雪の霞沢の谷は美しい。昼めしにビスケットを噛っていると雨になった。焼のラバーの跡には、雪が層をなして見える。小屋に帰って常さんと小十の猟の話を聞いていると、ちっともあきない。夜に入って雨は吹雪に変った。戸を打つ吹雪の音がサラサラと聞える。炉には大きな木がもえさかって、話はそれからそれへと絶えようともしなかった。
三月二十六日。吹雪は大分強い。十分用意をして午前七時半に出発した。いい雪だ。本当に粒の細かい水気のない雪だ。理想的のブルツファシュネーだと感じながら、吹雪の中を徳本に向かった。すっかり用意をして吹雪の中を歩くのは、気持ちのいいものでかつ痛快なものだ。徳本の下で焚火をした。時々パッと日があたると、木の影が雪の上にさす。何という美しさであろう。スキーは例の通り谷を一直線に登って行く。夏の道は左にある。頂上近くでいよいよ風が烈しくなる。温度は大したものでなく、摂氏の零下四度を示していた。まつ毛は凍って白い。徳本の頂上の道よりちょっと南に出た。東側には雪が二間もかぶっていた。