Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Read 山を思う (やまをおもう) by 石川 欣一 (いしかわきんいち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 79,814 characters · 157 screens
七
買ったのか貰ったのか、手紙には只「手に入れましたから」と書いてあったが、三十五才のロマンティストなる僕は、この蕎麦粉が、あの吹雪の夜の蝋燭に対するお礼として、あの村の人々から贈られたものゝような気がしてならぬ。
七
帰りのバスに、とても変な洋装の女性がのっていた。派手なので、こんでいる間は若い人だろうと思っていたが、麹町六丁目で急にすいて、後の座席から僕のすぐ前へ坐り直した――それもよろけて、短いスカートの下から膝の上の肉を出した。――のを見ると、どうしても四十は越している。
洋服は粋であった。靴下は肉色の絹であった。帽子は深いトークであった。四十を越していなければ、それから頸にフワフワな、寒冷紗みたいな絹の布をまいていなければ、―― tulle だろうって?
御冗談でしょう、あれは安芸者が、白粉の衿につくのをふせぐ為に使うもので、夜店へ行けば廿銭位で売っています。――そして御同伴の紳士に、あゝ迄ペチャペチャ、表情たっぷりで話さなければ、あたゝかい晩だ、あるいは彼女、僕の幻想を「やわらかく恋の思いに向けた」かも知れない。その時も僕は頭の中で「バールセロナの、乙女子よ、来ませずや我が胸に!」