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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Read 山彦乙女 (やまびこおとめ) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 126,360 characters · 251 screens
かれらは、反柳沢派の動きを、かなり綿密に探知していた。少なくとも、そう思われる根拠は幾つかあった。主馬は(まだ必要がないので)云わないが、平四郎の出張についても、土屋相模守から、寺社奉行に対して、相当つよい抗議が出たもようである。
――植物分布などは、その地の役人に調査申告を求めればよい、特に出張するほど重要なことでもないし、隣接する外様諸侯に、隠密の疑いをいだかせる危険もある。こういうことだったという。
「そうかといって、首をすくめているわけにもいかない、というのがですね」主馬は続けた。
「将軍家が御病臥で、柳沢邸で倒れて以来なんですが、どうも御容態が思わしくないらしい、そのためにかれらはひどく焦りだしたんでしょうな、だいぶ人や荷駄を甲府へ送り始めたんです、今日もその荷駄の一つが此処を通るんで、そいつを検査することになってるんですよ」
行列は長持五棹に、鉄櫃が三棹、馬はからしりを合わせて十五頭。これだけの荷物に、二十人の侍と小者人足で、一昨日の朝、江戸を立った。その日は八王子泊り、昨夜は吉野宿で泊って、今日こっちへ来るというのである。
「荷物は将軍家からの恩賜品という名目で、柳沢美濃守と、土屋相模守はじめ老中連署の証札を立てています、情報によると、中身はたしかに鉄炮らしい、というんですよ、こいつをね、関所で