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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Read 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) by 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,159 characters · 39 screens
伝兵衛は、急に腑に落ちぬ顔になって、首をひねっていたが、
「今すぐ行きますが、その前に、もう一言。……ねえ、先生、星ってのは、夜だけのもんでしょう。それが、昼間隕ちて来るッてのはどういうわけなんです」
「この火急の場合に愚なことを尋ねてはいかん。星は年がら年中空にあるが、日が暮れぬと、われわれの眼には見えんだけのことだ。隕ちたけりゃ、昼だって隕ちるさ。そういうわしの方も、もう間もなく落ちる。来るなら、早く来てくれ。おれは、まだ大切なことを知っているのだが、助けてくれぬうちは言わぬことにする。……ああ、落ちる落ちる。わしを殺すと玉なしになるぞ!」
上上吉若女形
源内先生は、何を探すつもりなのか、四ン這いになって浜村屋の物干台の上を這い廻っていられたが、浮かぬ顔をして立ち上ると、
「おい、伝兵衛、どうも、これは違うな」
「えッ」
「さっきの隕石説は取消しだ。……お前のやり方が憎らしいから、これだけは言わぬつもりでいたが、そもそも隕石というものは、一種独特の丸い結晶粒があって、地上の石塊や鉄塊と直ちに見分けることが出来るものだ。空から隕ちて、ここにいた娘の頭を創つけたものなら、その隕石の破片が必ずここに落ちているべきはずだ。