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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Read 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) by 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,159 characters · 39 screens

Aozora Bunko

「白状も糞もあるもんですか、いきなり取っ捕まえて否応なし」

「それは、近来にない出来だった」

「止しましょう。先生に褒められると、後がわりい」

「まあ、そう怯えるな。わしだって、たまには褒めることがある。方角はどっちだ」

「田端村の萩寺の近く。大きな欅の樹のある、小瓦塀を廻した家で、行けばすぐわかるんだそうです」

「名前は知れなかったか」

「ご冗談。犬猫の皮を剥いで暮している浅草田圃の皮剥餌取に、文字のあるやつなんぞいるものですか」

「それもそうだ。では、早速出かけようか」

「出かけるって、いったい、どこへ」

「わかっているじゃないか、その小瓦塀の家へ行く」

「あっしも、お供するんで」

先生は、例の通り、梅鉢の茶の三つ紋の羽織をせっかちに羽織りながら、

「当り前のことを言うな、お前が行かないでどうする」

「どうも、藪から棒で、あっしには何のことやら……」

「話は途々してやる。……今日は雪晴れのいい天気。まごまごしていると、また一人娘が死ぬかも知れん」

「えツ、そいつアたいへんだ」

「さあ、来い」

源内先生、いつになくムキな顔で、怒り肩を前のめりにして、大巾に歩いて行く。

伝兵衛は、小走りにその後を行きながら、