Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

あきばしょから

平野零児随想集 らいちゃん

平野 零児

Read 平野零児随想集 らいちゃん (あきばしょから) by 平野 零児 (ひらのれいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 21,838 characters · 48 screens

Aozora Bunko

芸術は短く貧乏は長し

「池谷、佐々木(味津三)、直木など、親しい連中が相次いで死んだ。身辺うたた荒涼たる思いである。

「直木を記念するために、社で直木賞金というようなものを制定し、大衆文芸の新進作家に贈ろうかと思っている」

故菊池寛は、直木の死んだ直後『文芸春秋』四月号(昭和九年)中の「話の屑籠」にこうした思いつきを発表した。

爾来早や、二十五年を経た今日、その制定によって、毎年新進大衆文芸作家を世に送り出し、すでにことし前半期の受賞者池波正太郎氏を加えて、四十数人に達した。

しかし「直木賞」は、このように花々しく、迎えられても、記念される当の直木三十五の名と作品は、ともすれば忘れられ勝ちである。

かつて故人は、当時築地木挽町にあった、文春クラブの二階で、私に、

「ボクのものなど、死んでしまったら、果たして何年くらい読まれるかな、キッとすぐ忘れられてしまうだろう……」

とあの長い顎(あご)をなでて、ポッンといったことがあった。私にはいま、その言葉が強く思い出される。

遺憾ながらその言葉は、当っているようでもある。でも『南国太平記』は、いまもなお新しく版を重ねている事実もある。