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かいきよんじゅうめんそう
怪奇四十面相/宇宙怪人
江戸川 乱歩
Read 怪奇四十面相/宇宙怪人 (かいきよんじゅうめんそう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 182,581 characters · 364 screens
もし、このいきおいで、まっすぐにすすんでくれば、窓ガラスにつきあたって、ガラスがわれ、部屋のなかに、ドッと、水がおしよせてくるかもしれません。小林君は、まっさおになって、窓のそばから、逃げだそうとしました。すると、軍服の少年が、小林君の腕をつかんで、
「だいじょうぶだよ。こわくないんだよ。」
と、にこにこしながら、言うのでした。
すると、そのとき、怪魚は、クルッとむきをかえ、そのまま、スーッと左のほうへ、およいでいきました。そして、窓からは、もう見えなくなってしまいました。
ところが、その窓から見えなくなろうとするときに、小林君は、じつに、なんともいえない、ふしぎなものを見ました。
大怪魚のせなかに、大きな、おわんをふせたようなすきとおったコブができていることは、まえに書きましたが、そのコブの中で、なにか動いているような気がしたのです。
しかも、それが、なんだか人間の顔のように見えたではありませんか。怪魚のせなかに、どうして人間がはいっているのでしょう。それとも、あれは、怪魚の子どもだったのでしょうか。カンガルーが、自分の子どもを、おなかのふくろの中にいれているように、この怪魚は、自分の子どもを、せなかのすきとおったコブの中に、いれているのでしょうか。