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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Read 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) by 林 芙美子 (はやしふみこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 103,349 characters · 207 screens
小僧さんの持った木箱には
さつまあげ、鮭のごまふり、鯛の飴干し
二人は同じような笑いを感受しあって
日本橋に立ちました。
日本橋! 日本橋!
日本橋はよいところ
白い鴎が飛んでいた。
二人はなぜか淋しく手を握りあって歩いたのです。
ガラスのように固い空気なんて突き破って行こう
二人はどん底を唄いながら
気ぜわしい街ではじけるように笑いました。
私は食物の持つ、なつかしい木箱の匂いを胸に抱いて、国へのお歳暮を楽しんだ。
十二月×日
「こんやは、庄野さんが遊びに来てよ、ひょっとすると、貴女の詩集位いは出してくれるかもわからない、福岡日々の社長の息子ですってよ……。」
たいさんと二人でいつもの夕飯を食べ終ると、二人は隣りの部屋の、軍人上りの株屋さんだと云う、子持ちの夫婦者のところへ、まねかれて行く。
「貴女達は呑気そうですね。」
たいさんも私もニヤニヤ笑っている。
お茶をよばれながら、三十分も話をしていると、庄野さんがやって来た。インバネスを着て、ゾロゾロした格構だ。
此人は酔っぱらっているんじゃないかと思う程クニャクニャしていた、でも人の良さそうな坊ちゃんだが。
こんな人に詩集を出してもらったって仕様がない。