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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
今はぐずぐず言って居られないから。」
「困りますわ。そんなこと。」
「責任は僕が負う。早くして下さい。死にかかっている病人があるんだ。」
私は、下働きが薬局へ這入ると、そこへも図々しく這入りこんで、一本だけ手に抱えた。時計が寂しくなっている。
「明日来て話するから。」
そういうと私はすぐ家へかえった。門の前に看護婦が出て私のかえるのを待った。みんなは景気のよい音をきくと、ほっと一ト息ついた。
「なかなか起きて呉れないんですもの。」
夏は、ぶつぶつ言っていた。
夜が明けると、赤児がすやすや睡っていた。樋口さんが朝飯前にやって来た。
「すこし熱は降ったようだ。」
水銀を振りながら、「赤児はすぐ悪くなるんだから安心がならない。」と言った。
「いつか僕らがあまり神経質過ぎるって言ったじゃありませんか。」
「そんなことを言いましたか、いや、それで赤児の場合は結構ですよ。けれども何んでもないときに騒がれると困る。」
そういうと、おひるころに又来るからと言い、「この蔦はぜひ分けて貰いたいですな。」と夏に言って出て行った。
「気さくないい人ですね。一日に三度も来て下さるんですよ。