Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しん・へいけものがたり
新・平家物語
吉川 英治
Read 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 123,012 characters · 245 screens
おれは、こよいの御酒を、涙なしには、いただけぬわい』
『またしても、またしても、院の公卿どもが、いい合わせて、上皇と殿との、おん結びを、盛遠追捕の不首尾にことよせ、裂こうと企てておるらしいぞ』
『あな、うつけ。――らしいとはなんぞよ。らしいとは。殿のお肚がわからぬか。殿は、またお引き籠りと、きめておるによ』
『非違もないのに、なぜ、わが殿は、さまでに、お弱気なのやら。……おれは、たまらぬ、業が煮える。まるで、姑、小姑みたいな悪公卿どもの、もやもやを、見ておられる上皇も上皇だ』
『これ、様をつけて申せ。様をつけて』
『なんのざまはない上皇ではあるぞ。殿を、正しい者と、信じて、お愛しになるならば、側近の誹りや隔ても、なぜ、一蹴してはくださらぬか。そのこともなく、殿が、御出仕あれば、寵を示され、公卿輩が、嫉み出すと、見えすいた陰謀も、知らぬお顔というのでは、殿が、生殺しというものだぞやい』
『もう、いうな。天下の政治は遊ばすが、院中の侫官すら、ままならぬものがおありなのだ。……殿は、自分のために、その上皇さまを、お苦しめ申しては相済まないというお考えにちがいない』