Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Read 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 123,012 characters · 245 screens

Aozora Bunko

『思い上がりのいやしさを見られい』『見るも、野臭き男よの』『身は、風の前のともし灯とも知らいで』

ささやきあう公卿たちの眸をしり目に、忠盛は、わざと、刀を抜いて、自分の鬢へ当ててみたりしていた。

ほのかな深殿の燭に、それが氷のように見え、諸人は、目をすまして疑った。

おりふしまた、なにがしの大臣は、廊を通りかかって、ふと、小庭の暗がりに、怪しげな二つの人影が、うずくまっているのをみとめた。

『狩衣の下に、物の具を着、太刀をわきばさんで、うつぼ柱の辺りに、かがまり忍ぶ布衣の曲者は誰ぞ』

馳けつけてきた六位の者が、とがめると、庭上の影は、こう答えた。

『これは、平ノ忠盛殿が子飼いの召使い、木工助家貞と、平六家長のふたりです。こよい、相伝の主忠盛どののお身に、不慮あらんやの取りざたをうけたまわり、かくは候うて罷りおりまする。いのちをかけて推参の者。出よとて、めったにここは動く者でございません』

公卿たちは、これを伝え聞いて、愕然と、顔を見あわせた。

宴、たけなわとなり、人びとの舞ったあとで、忠盛も、上皇の御前で、舞った。

公卿たちは、腹癒せに、

『――咲くや木の花、なにわ津の、入江の葦は、伊勢の浜荻、伊勢の瓶子は、素甕にてこそ。