Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Read 新・水滸伝 (しん・すいこでん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 684,899 characters · 1374 screens

Aozora Bunko

「これは」

と、きもを冷やしたか、さすがの宣賛も陣を崩して逃げなだれた。

しかしそれは“新手がわり”の扇開陣かと見えもする。――蜘蛛の子と散ったうしろ側の二段の陣には、旌旗、弓列、霜のごとき矛隊が、厳然として控えていた。そしてその真ん中には、炭火のような赤い馬にまたがり、手に青龍刀の烈々たる冷光をひッさげた偉丈夫が、眼をほそめて、全戦場を見わたしている。威厳、いやその絶妙な陣容、たとえば底知れぬ深淵のごときものがあって、とても、うかとは近づき難い。

――時しも、すでに紫の夕雲が、水滸の蕭条たる彼方に真ッ赤な日輪をのんで沈みかけている。やがて、吹き渡る薄暮の暗い風のまにまに、相互とも、事なく退き鉦を打鳴らしていた。

露営の天幕には、夜の霜が降りた。宋江は、すっかり何かに感じ入っている。彼はよく人を観る。

「さすがは、漢代の功臣の末裔――」

と、一、二度ならず呟いた。

「まことに、関勝とは、聞きしにまさる武人ではある。ちかごろ稀れに見る人品骨柄」

これを、そばで聞いていた林冲は、すくなからず不愉快な顔をして、

「はて、宋統領としたことが、なんだって、敵にそんな気おくれを持たれるのか。