Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Read 新・水滸伝 (しん・すいこでん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 684,899 characters · 1374 screens

Aozora Bunko

×         ×

今上、徽宗皇帝の後宮三千のうちに、慕蓉貴妃という皇帝の寵姫がいる。

青州奉行は、その貴妃の兄にあたる人なので、姓にも二字の慕蓉、名も二字名で、彦達といい、妹の威光を逆に兄がかさに着て、いやもうえらい羽振りなのだった。

「なに。――劉長官の上申だと。どれ見せい」

慕蓉は側近の手からそれを取上げ、一度ならず読み返した後、はたと文書函の蓋をした。

「これで見ると、鎮城の花栄は、軍を私兵化して人民の財をしぼり、あまつさえ清風山の賊魁と通じて、事ごとよからぬ働きをしているとあるが……。花栄も都の功臣の子、劉高はまた文官のきけ者。はて弱ったものだな」

と、熟考のすえ、「しかし、捨ててはおけん。黄信を呼べ」

となった。

州軍の警備総長黄信、あだ名は鎮三山、さっそくにやって来て、慕蓉の台下に、拱叉の拝を執ってひざまずいた。

州の管下には、古来警備に手を焼いている険悪な山岳が三ツある。一が清風山、二が二龍山、三が桃花山、それである。

いずれも山は険で、強盗追剥ぎの屈強な雲窟だった。けれど武技腕力にかけて絶倫な黄信が、みずからその警備軍の長を買って出て「――我れ出でて三山に鬼声なし」