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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Read 新・水滸伝 (しん・すいこでん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 684,899 characters · 1374 screens
と大書した旗じるしを作り、馬卒二十余り、同気七名を伴い、昨夜ひそかにここの陣をはなれ、わざと道を遠く廻って、やがて独龍山の裏がわ、祝氏の城の搦め手道へかかって行った。
「御指南」
城兵の一人が駆け込んで来て告げた。
武芸指南役の欒廷玉は、ちょうど城内の弓の広場で、祝氏の三傑――朝奉の息子、祝龍、祝虎、祝彪らと、なにか立ち話していたところだった。
「なんだ、あわただしげに」
「はっ。ただいま登州守備隊の孫立と名乗るお人が、同勢二十七、八名で御指南をたずねてまいられましたが」
「どこへ」
「搦め手門の濠の外へ。中に女人も二人ほど連れております」
「おかしいなあ。ほんとか」
そばで、ふと聞きとがめた祝龍が。
「何者です、先生。それは」
「以前、おなじ師匠の許にいた同門の者ですが」
「ならば会ってみたら分るじゃないですか。女連れだとか。まさか物騒な者じゃあるまい」
「ではおゆるしを得ましょうか。兵卒、濠の吊り橋を下ろして通せ」
孫立の一行は、まもなく郭門でみな馬をおりて、これへ来た。相見るや、欒廷玉もオオと双手で迎え、孫立もまた手をさしのべ、かたく握り合って、お互い久闊の情を見せた。