Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,659 characters · 372 screens

Aozora Bunko

秀吉は、まるで彼を、旧友あつかいにして、それ以上、かれの恥じ入るのをみたがらなかった。

「ぜひにも」

と、成政は、礼をのべて、やっと退出した。

後日。

かれは、秀吉のお咄し衆として、大坂表へ移住した。思うに、もしこれが、信長の場合であったならば、こんな寛典にめぐまれるはずもなし、かれの首は、二つあっても足りなかったであろう。

「おそろしい男だ……」

今さらのように、成政は、秀吉の真を知った心地に打たれながら、営所を退がって、前田家の陣所の前を、悄々と、退がって来た。

すると、前田利長やその旗本たちが、変り果てた彼の姿に、みな眼をそそいだ。

突然、旗本の一人が、

「笑いを怺えるのは体の毒でござる。御一同、笑い候え。笑い候え」

と、いった。

それをしおに、陣中、一せいに、どっと笑い出した。

成政は、まっ赤になって足を早めた。

――笑うてやるぞ。は当時の最大な社会制裁であった。笑われた、は時によって死以上の致命的な侮辱を意味した。ひとり武門ばかりでなく、町人間の借用証文にさえも、

「もし返却の儀、怠り候はば、お笑ひ下さる可く候」

という文句さえあった。「首をかけても」