Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,659 characters · 372 screens

Aozora Bunko

……だから、貴公が、北国の僻地に生れたという嘆も、何も嘆くにはあたらない。自分は一生、北辺の一隅から動くまいと思っても、天下がうごく、時雲は案外、迅いものです」

「さて、そう思うと、努めて長生きすることですな」

「命を愛さぬような武人は語るに足りません」

と、三成は、きっぱりいって――

「ですから、自分などは、大坂城中でも、第一の臆病者と、いつも同じ小姓部屋出身の荒武者どもから爪弾きです」

「ははは。よいことを承った。直江山城なども、少し武者振りがよすぎますかな」

ふたりが、手を打って、笑い合っていたときである。――お立ちですぞ、羽柴どのの御家来、御主人がお立ちですぞ! と上杉家の侍が、彼方から駈けて来て、三成に教えた。

秀吉の扈従たちさえ、当然、泊るものと思っていたのに、秀吉は、夜も二更の頃というのに、突然、

「ただ今からお暇する」

と、上杉景勝に別れを告げ、すぐ城門へ、馬を曳かせた。

三成は、駈け出して、からくも主人から置き去り食うのをまぬがれた。

景勝以下、山城も、上杉家の重なる者は、城門に炬火をかかげて、秀吉の一行を見送った。

「さらば」

「さらば」

かくて、この日の会盟は、一夕のまに、果された。