Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,659 characters · 372 screens

Aozora Bunko

宗易は、茶が終ると、姿をかくしたが、もう一名の妙な男だけは、秀吉のそばにいて、主客のはなしを、にやにや聞いていた。

晴季は、その男が、気になるので、つい肚のうちを、云い出しかねていると、秀吉はそれと察したか、笑いながらこういった。

「菊亭どの。これは堺のそろりと申し、毒にも薬にもならん男。お気づかいなく、お考えを、聞かせられい」

秀吉は、さきに腹蔵を打ちあけていた。足利義昭に養子を断られたことなども、不面目だからといって、隠し立てなどはしなかった。

晴季は、膝をすすめた。

「では、忌憚のないところを申しあげるがの。将軍職のお望みは、まず御断念がよいとおもう」

「見込みはないか」

「あっても、つまらんではございませんか」

「ふーむ、そうかな」

と、秀吉は小鼻に皺をよせて横を向いた。

うしろに坐っていたそろりが秀吉と眼を見あわせて、にやりと笑った。近頃、このそろりという猫背の老人は、秀吉の腰巾着といわれるほど、気に入りで、いつも彼のそばにいた。しかし、秀吉の虫の居どころによっては、時々、眼うるさくなる場合もあるし、今も急に、云い出した。

「新左衛門」

「はあ」

「おまえも、退がっておれ。