Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 187,841 characters · 376 screens

Aozora Bunko

もちろん美作以下、枕をならべて、惨憺たる全滅をこうむったことはいうまでもない。

そういう忠誠な臣下を犠牲にしながら、義景は、本城一乗ヶ谷にこもって、祖先の地を死守しようという気ももたなかったのである。

城へもどると、妻子一族をひきつれて、大野郡の東雲寺へ深くかくれこんでしまった。城池の中にいると万一の際、遁れる道もないからだった。

主将がその有様なので、そのほかの将卒もみな思い思いに分散した。

ひとり本城に残った桑山清左衛門という一将は、あまりのふがいなさに、声をあげて哭いたという。

「藩祖教景公このかたここに五代、越前の名門庶流、あわせて三十七同族、世々恩顧のさむらいを養うことも何十万、それがいま、祖先の地を敵兵に蹂躪され、本城も墜ちんとするのに、ただひとり共に死のうとする者もないとは! さむらいの廃れか、君の御不徳か!」

清左衛門は、わずかな郎党とちかって、寄手と一戦をまじえ、これまでと観念してひっ返すと、城内一乗ヶ谷にある歴代の藩主の墓前で、腹を切って麗しい鮮血のなかに身を伏せた。

この父にはまた、この父の子らしい娘があった。名は伝わらぬが、芳紀その時十八であったという。