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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,320 characters · 398 screens

Aozora Bunko

と、官兵衛が力説したのである。

要害の堅城というのでは、三木の地形がすぐれている。しかし、領政交通の利は、断じて姫路が優っている。なお、中国の攻略、四国の征定など、将来の大計を考えれば、姫路城に拠点をおくことの利は、議論の余地もない。

「しかし……」

と、遠慮ぶかそうに秀吉はいった。

「姫路の城は、前々よりお許ら父子一族の住居ではないか。秀吉が入城しては」

「なんの、それがしどもへは、べつに一城を取って下し賜わらば結構です」

「うむ。そうするか」

「自慢ではありませんが、姫路の城は、南に飾磨の津をいだき、舟行の便はいうまでも候わず、高砂、屋島などへの通いもよく、市川、加古川、伊保川などの河川をめぐらし、書写山、増位山などの嶮を負い、中国の要所に位し、中央へも便ですから、大事をなすにはあの地に如くはありません」

――で秀吉は、一も二もなく姫路へ入ったのであった。

黒田父子の主人筋で、一たん織田方へ味方しながら、中道で寝返りを打った御著の小寺政職は、三木陥落と聞くやいな、戦いもせず、居城御著をすてて、備後方面へ潰走してしまった。

世間は、もの笑いにした。しかし官兵衛孝高は、