Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,903 characters · 400 screens

Aozora Bunko

「はい」

源右衛門が行きかけると、左馬介はそれを止めて、

「わしが参ろう。源右のいかつい問いかたでは、山僧どもが、よう物を申すまい。――光春が参ってねんごろに問うてみまする」

ことばの半分は、光秀へ向って告げ、光秀のうなずきを見ると、彼は小屋のほうへ歩き出した。

ところが、その光春のもどりを待っているあいだに、光秀は、会おうともせぬ人物に、はからずもここで会ってしまった。

鶯茶の投げ頭巾に、同じ色の道服を着、白脚絆のわらじを穿いている。

年は七十をこえているが、唇は少年の如く紅く、眉は白雪、さながら鶴に道服を着せたような老人であった。

ふたりの下僕と、ひとりの童子をつれ、四人づれで今、四明ヶ嶽の谷道から上って来たのであるが、ふと光秀のすがたを見かけると、

「おう、日向どのではないか」

と、一目してその人とすぐ知ったらしく、供の者をうしろへおいて、無造作に側へ来て話しかけた。

「お久しいことでおざった。やれやれ、これはまた、思いがけぬ所で、思わぬお方にお会いするものではある。安土においでて、寸暇もなくお勤めと伺っていましたが、きょうはまた、どうしたお序で、かかる無人の山中へわたらせられたか」