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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,903 characters · 400 screens
龍王山の本陣 一万五千人
平山村附近 羽柴秀勝五千人
八幡山 宇喜多衆一万人
大別して秀吉の陣はこうわかれていた。秀吉はまず主力戦に入るまえに、
「高松の右翼、宮路と冠の二城。左翼の加茂、日幡の二城。こう両翼を取り除くを先とする。たれか宮路の城を一気に攻め落す自信のあるものはないか」
ことばの下に。
「それがしが」
「私が」
「てまえにお命じを」
と、諸将は争って、この緒戦の先鋒に選ばれんことを願った。
その中に、福島市松もあった。小姓組から名乗り出たのは彼一名だった。
「市松。お汝、行く気か」
「おいいつけ下されば。……はい」
「自信があるのか」
「ちと心外なおたずねです」
「ははは。よかろう。たかだか四、五百たてこもっている砦。小姓どもが攻め取るには手頃であろう。行って来い。福島市松にこれは命じておく」
市松は勇躍した。
人々の羨望する眼を身に感じながら、すぐ準備のため、座を立ったのはよいが、その際、彼の持前として、ついいわずともよいことをいったので、人々は心のうちで、
(生兵法と生意気、ふたつを具備した市松、下手を踏まねばよいが)
と、危うがった。
いわでもよいことというのは、