Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,903 characters · 400 screens
。
こうして、この夜、冠山の城も陥ち、城将の林重真も、城と運命を共にした。
虎之助は、あとの始末を、杉原七郎左衛門の手に委せて、龍王山へもどるとすぐ、秀吉のまえに出て、
「おいいつけの度を超えて、つい独断、立ち働きいたしました。万一仕損じたみぎりは、生きて帰らないつもりでしたが、思いどおり城が陥ちたので立ち帰りました。御命令に違背の罪、どうぞお叱り置きねがいまする」
と、いった。
秀吉は、否と、頭を振り、
「違背ではない。万一、敵の搦手に接近して、敵に間隙があれば、そう致すであろうとぞんじたゆえ、特に、思慮勇気ふたつあるそちをさし向けたのだ。よしよし。……このたびは二人ともよくいたしたぞ」
と、賞めた。
だが、二人ともとは、もう一名誰のことをさしたのか、虎之助が顔を上げて見まわすと、秀吉のかたわらに、福島市松が見えた。それまでやや仏頂面していた市松が、急に顔を赧らめて、はっと指先を下へつき、喜色を姿にかがやかしている。
「褒美は他日みなとともにつかわすであろう。当座のしるしまでに」
市松にも、虎之助にも、同様な感状が下りた。虎之助が感状をうけたのは中国陣に臨んで以来、これで二度目であった。