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あいじょう
日本の名随筆 別巻15 色街
吉井 勇
Read 日本の名随筆 別巻15 色街 (あいじょう) by 吉井 勇 (よしいいさむ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 2,382 characters · 6 screens
雑魚寝
「吾八」の歌を探すので「祗園歌集」を読み直していると、はからずも「雑魚寝」と題する数首の歌にめぐり会つた。それは、
かより合ひ転び合ひたる雑魚寝びと遊び倦きたるあけがたの月
世之介の大原の里の雑魚寝よりわれの雑魚寝はなまめかしけれ
夏の夜のあからさまなる雑魚寝さへあさましからず君の恋しき
というようなものであるが、その中の「世之介の大原の里の雑魚寝」というのは、西鶴の「好色一代男」の巻之三、世之介二十四歳の時のくだり、「一夜の枕物ぐるひ、大原ざこ寝の事」としてある一章の中に、次のようなことが書いてあるので、それを言つたものなのである。
「まことに今宵は、大原の里のざこ寝とて、庄屋の内儀、娘、又下女下人にかぎらず、老若のわかちもなく、神前の拝殿に、所ならひとて、みだりがはしくうち臥して、一夜は何事をも許すとかや、いざこれよりと、朧なる清水、岩の陰道、小松をわけて其里に行きて、手つかむ計りの闇がりまぎれにきけば、まだいはけなき姿にて逃げまはるもあり、手を捕へられて断りをいふ女もあり、わざとたはれ懸るもあり、しみじみと語る風情、ひとりを二人して論ずる