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うんめい
日本の文学 3 五重塔・運命
幸田 露伴
Read 日本の文学 3 五重塔・運命 (うんめい) by 幸田 露伴 (こうだろはん) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 100,648 characters · 198 screens
それ外より入る者は、中に主たる無し、門より入る者は家珍にあらず。白を挙げて楽となす、何ぞ是れ至楽ならん。
遜志斎の詩を逃虚子の詩に比するに、風格おのずから異にして、精神夐に殊なり。意気の俊邁なるに至っては、互に相遜らずと雖も、正学先生の詩は竟に是れ正学先生の詩にして、其の帰趣を考うるに、毎に正々堂々の大道に合せんことを欲し、絶えて欹側詭※の言を為さず、放逸曠達の態無し。勉学の詩二十四章の如きは、蓋し壮時の作と雖も、其の本色なり。談詩五首の一に曰く、
世を挙って 皆宗とす 李杜の詩を。
知らず 李杜の 更に誰を宗とせるを。
能く 風雅 無窮の意を探らば、
始めて是れ 乾坤 絶妙の詞ならん。
第二に曰く、
道徳を 発揮して 乃ち文を成す、
枝葉 何ぞ曾て 本根を離れん。
末俗 工を競ふ 繁縟の体、
千秋の精意 誰と与に論ぜん。
是れ正学先生の詩に於けるの見なり。華を斥け実を尚び、雅を愛し淫を悪む。尋常一様詩詞の人の、綺麗自ら喜び、藻絵自ら衒い、而して其の本旨正道を逸し邪路に趨るを忘るゝが如きは、希直の断じて取らざるところなり。希直の父愚庵、師潜渓の見も、亦大略是の如しと雖も、希直の性の方正端厳を好むや、おのずから是の如くならざるを得ざるものあり、希直決して自ら欺かざる也。