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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
Read 明治劇談 ランプの下にて (めいじげきだん ランプのもとにて) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,283 characters · 329 screens
勿論、大阪歌舞伎と銘を打っている劇場であるから、大阪俳優のうちから中村福助、片岡我当、嵐巌笑、尾上多見之助なども加入したが、もともと団十郎を売物にした芝居であるから、第一回の興行は一番目「出世景清」、中幕「鏡獅子」と「二人袴」、二番目「河内山」という列べ方で、団十郎は景清、小姓弥生、高砂尉兵衛、河内山宗俊の四役をつとめ、その他の役々もすべて東京側で受持つことになった。そのあいだに大阪方では「輝虎配膳」と「戻り駕」を出した。
第二回の興行は三月二十日から開場して、一番目「忠臣蔵」、中幕「大森彦七」、二番目「幡随院長兵衛」で、団十郎は由良之助と彦七と長兵衛とを勤めた。今度は特に大阪方の出し物というのはなく、忠臣蔵のなかで身分相応の役々を受持つことになった。
しかし、この興行は不幸にして予期したほどの好成績をあげることが出来なかった。第一回はどうにかこうにか持ちこたえたが、第二回に至ってはよほど景気が悪かった。それには二つの原因があったと伝えられる。第一は入場料がその時代として滅法界に高いことで、桟敷一間が十三円八十銭、平土間は二人詰めで一間四円五十銭というのであるから、団十郎が見たい見たいと言いながらも、その観覧の値があまりに高いのに脅かされて、二の足をふむ人々の多かったためである。