Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,540 characters · 319 screens
その蠑螺の尻をつかんで引っ立てようとすると、それはひどく重かった。横にころがして貝のなかを覗くと、奥にはなにか紙のようなものが押し込んであるらしいので、すぐに抽き出してあらためると、それはたしかに百両包みであった。つつみ紙には血のついた指のあとが残っていた。
あたりの人たちに覚られないように、半七はその百両包みをふところに忍ばせた。まだほかに何か新しい発見はないかと見まわしているところへ、表から彼の伝介がふらりとはいって来た。商売にまわる途中と見えて、きょうは煙草の荷を背負っていた。かれは半七の顔を見て、さらに内の様子を見て、すこし躊躇しているらしかった。
「お早うございます。きのうは御苦労さまでございます」と、彼は半七に挨拶した。「きょうもなんだか取り込んでいるようですね」
「むむ。大取り込みだ。徳蔵はゆうべ殺された」
「へええ」と、伝介は口をあいたままで突っ立っていた。
「ところで、おめえに少し訊きてえことがある。ちょいと裏へまわってくれ」
おとなしく付いて来る伝介を導いて、半七は横手の露地から裏手の井戸端へまわった。
「もうここまでお話をすれば、大抵お判りでしょう」