Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
門の柱には「西洋写真」という大きい看板が掛けてあった。
門と云っても木戸のような作りで、それを押せばすぐにあいた。
「ごめんなさい」
三五郎が先ず声をかけると、二十歳ばかりの若い男が内から出て来た。
「島田先生はお内ですか」
男は暫く無言で三五郎の顔をながめていたが、やがて低い声で答えた。
「先生は留守です」
「どちらへお出かけですか」
「江戸へ……」
入れかわって半七がずっとはいった。
「少しお前さんに訊きたいことがある。わたしらは戸部のお奉行所から来た者です。まあ、縁さきを貸しておくんなさい」
半七と三五郎は、庭を通って縁さきへ腰をかけた。松吉は裏手へまわって、人の出入りを見張っていた。奉行所から来たと聞いて、男も形をあらためて挨拶した。
「なにか御用でございますか」
「おまえさんは先生のお弟子さんかえ」と、半七は訊いた。
「はい。吾八と申します」
見たところ、彼は正直そうな、おとなしやかな若者であった。
「先生は江戸へ何しに行ったのですね」
「商売のことで時々江戸へまいります。今度も大方そうだろうと思います」
「ここの家へお角さんという人が来ますかえ」
吾八は少し躊躇したが、それでも隠さずに答えた。