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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,831 characters · 396 screens
残っている子分に余り頼もしい者は少ない。さきごろ金蔵を召捕ったのも、彼がしたたかに酔っていたからで、もしも白面であったらば或いは取り逃がしたかも知れないと、お力は云った。それは半七も薄々察していた。こんな奴らの縄にかかったのは残念だと、金蔵が自身番で呶鳴ったのも無理はないように思われた。
それにしても本人の甚五郎が頼みに来たのならば格別、表向きは他人のさつきの女房に頼まれて迂闊に差し出たことは出来ないので、半七は飽くまでも断わった。そんな事をすれば三甚の顔を汚すようになるという訳を、かれは繰り返して説明すると、お力もこの上に押し返して云う術もなかったらしく、それでは又あらためてお願いに出ましょうと云って帰った。
それを見送って、お仙は気の毒そうに云った。
「三甚さんも困ったものですね」
「色男、金と力はなかりけりと、昔から相場は決まっているが、岡っ引の色男なんぞはどうもいけねえ。おれ達の商売はやっぱりかたき役に限るな」と、半七は笑った。
「三甚のお父さんには世話になった事もありますからねえ」
「むむ、三甚の先代にゃあ世話になったこともある。ただ笑って見物してばかりもいられねえが、そうかといって無闇に差し出たことも出来ねえ。