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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,831 characters · 396 screens
「首のねえ奴……。一体おれを誰だと思っているのだ」
「知れたことだ。石町無宿の金蔵よ」
半七は呆気に取られたが、やがてにやにやと笑い出した。
五
半七を縛ったのは、ここらを縄張りにしている戸塚の市蔵の子分らであった。神田と戸塚と距れていても、古参の子分ならば半七の顔を見識っているのであったが、あいにく古参の連中は居合わさず、駈け出しの若い者ばかりが飛んで来たので、こんな間違いが出来したのであった。
さつきの女房の云った通り、この白井屋ではお浜と甚五郎を預かっていたのであるが、きのうの夕方、戸塚の市蔵の子分が来て、牢抜けの金蔵が此の頃ここらに立ち廻っているという噂がある。ここの家は客商売であるから、金蔵のような奴がはいり込まないとは限らない。それらしい奴を見たらばすぐに内通しろと云って、彼の人相書を見せて行った。それを聞いて、白井屋では心配した。
金蔵はなんの為にここらを徘徊しているのか。もし三甚のあとを尾けて来たのならば、大いに警戒しなければならないと云うので、さらに甚五郎らを近所の植木屋に忍ばせると、その翌日、あたかも半七がたずねて来たのである。