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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,831 characters · 396 screens
年配といい、態度といい、なんだか有難そうな老僧の前に、二人は丁寧に頭を下げた。
「こちらのお寺はお幾人でございます」と、半七は訊いた。
「わたしのほかに俊乗、まだ若年でござりますが、これに役僧を勤めさせて居ります」と、祥慶は答えた。「ほかは納所の了哲と小坊主の智心、寺男の源右衛門、あわせて五人でござります」
「寺男の源右衛門というのは幾つで、どこの生まれですか」
「源右衛門は二十五歳、秩父の大宮在の生まれでござります」
「これも若いのですね」
「源右衛門は門内の花屋定吉の甥で、叔父をたよって出府いたした者でござりますが、そのころ丁度寺男に不自由して居りましたので、定吉の口入れで一昨年から勤めさせて居りました」
「その源右衛門は無事に勤めて居りますか」
「それが……」と、老僧はその長い眉をひそめた。「十日以前から戻りませんので……」
「駈け落ちをしたのですか」
「御承知の通り、十二、十三の両日は強い風雨で、十四日は境内の掃除がなかなか忙がしゅうござりました。花屋の定吉、納所の了哲も手伝いまして、朝から掃除にかかって居りましたが、その日の夕方、ちょっとそこまで行って来ると云って出ましたままで、再び姿を見せません。