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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
こいつは大しくじりだ」
「なに、そんなことはすぐに判りますよ」
店屋の灯がちらほら紅くなった往来で、親分と子分は別れた。
四
あくる日は又陰って、夕方から細かい雨がしとしとと降り出した。どうも続かない天気だと云っていると、その夜の五ツ(午後八時)過ぎに、亀吉と松吉が顔をそろえて来た。
「丁度そこで逢いました」
「そりゃあ都合が好かった。そこで、早速だが、めいめいの受け持ちはどうだった」と、半七は訊いた。
「じゃあ、わっしから口を切りましょう」と、亀吉は云い出した。
「大津屋の亭主は重兵衛といって、ことし四十一になるそうです。五年前に女房に死なれて、お絹という娘と二人っきりですが、どっかに内証の女があると見えて、この頃は家を明けることが度々ある。それから、親分。その娘のお絹というのは、お城坊主の次男とどうも可怪しいという噂で……。してみると、親分の鑑定通り、万次郎と大津屋とはぐるだろうと思いますね。それから大津屋へ出入りの女絵かきは、孤芳という号を付けている女で、年は二十三四、容貌もまんざらで無く、まだ独身で、新宿の閻魔さまのそばに世帯を持っているそうです。