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あんこくにっき
暗黒日記
清沢 洌
Read 暗黒日記 (あんこくにっき) by 清沢 洌 (きよさわきよし) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 93,322 characters · 188 screens
七月四日(火)
七月八日(土)
七月九日(日)
勝田君という人のよい祕書をもってしても、「人間ではありません、獸です」と言っていた。ここに完全に堕落し切った末世日本がある。
七月四日(火)
鮎沢君のところに招かる。三井、蝋山および僕が客である。三井君の話に、中学校、女学校の三年以上は、ことごとく軍需工場に出て働かなくてはならぬ。学徒動員だ。学習は一週間六時間つまり一日一時間である。いわんや大学生は全然学習の時間がないのである。国防国家という軍人の理想がここに実現したわけだ。が、それにしても彼らのいうことを唯々諾々ときく岡部文相は、何という腰のぬけた男だろう。
七月八日(土)
きょうもまた百姓する。
蝋山君の話では、東條は近衞を檢挙しようと、いろいろやってみたそうだ。つまり東條の対戰態度を知っているのは近衞であるから、彼を圧迫し去ろうとする意思であったというのである。そういうことがあり得るかも知れず。
七月九日(日)
この日記は軽井沢に置いて帰る。実はいつこれを見られるかも知れぬ懸念があって、日記帳にすら遠慮とカモフラージュせねばならなかった。
先ごろ書いた正宗白鳥氏の話――先般、海軍報道部長の招待で、馬場恒吾氏らが出席したときの課題は、「如何にして国民の戰意を高揚せしむるか」